1章†夢の果て

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美優:「もう着いたよっ」  言わなければ本当にどこまでも行ってしまいそうな気がして、慌てて制止をかけた。 美紗:「ありっ?」  目の前に広がるは、ありふれたシンプルな一軒家。表札には「若月」の文字。 美紗:「ぇ、えへ」 美優:「ふふっ」  朝から究極の空回りを発揮する姉に呆れながらも、なんだか可笑しくなって笑ってしまった。  切れた息を整えつつ玄関ドアを開けて帰宅する二人。 美紗&美優:「ただいまぁ」  奥から急ぎ足で母が迎えに来た。 林檎:「ぉ、お帰りなさい。早かったわね..美優、ご苦労様(汗」  苦笑いを浮かべながら労ってくる。夕飯は好きなモノを作ってもらおうと密かに心に決めながら、軽く文句を言ってやる。 美優:「ママ、曜日くらい忘れないでよね..」  すると苦笑いの表情は更に苦味を増していく。夕飯いただき。 林檎:「ぁ、あはは..」  この家庭、ある意味美優が中心に成り立っているのでしょう 美優:「お姉ちゃんもっ!」  さも自分は悪くないといった顔で平然としている姉にも一喝。 美紗:「ぅ、はぁい..」  若干小さくなる姉。姉妹逆転。いや、双子だから、どちらが姉で妹かなんてあまり関係無い気もするような。 林檎:「まぁ、とりあえず着替えてらっしゃい」  気を取り直して母が言葉を発する。 美紗:「はーい」  軽く返事をしながら、トコトコと自分の部屋に向かう美紗。美優はその後を追い掛けながら、姉を呼び止める。今日の元々の用事を伝えるために。 美優:「ね、後で買い物付き合ってくれない?」 美紗:「ん、おっけぇい」  二つ返事で部屋に入っていく姉を見届けた後、1階のリビングへと降りていく。朝食の酢豚は先程と量は変わらずにラップしてあった。母は椅子に座ってパンケーキを食べている…。 美優:「ママ..」  ジト目で呼び掛けると、「え、なに?」とこちらを振り向いた。さっきの姉の表情とデジャヴ。わざと狙っているわけじゃないよね…?  …しばらくして、着替え終えてリビングに降りた美紗は異様な光景を目にする。 美紗:「何してんの?」  美優が母の口に無理矢理酢豚を突っ込んでいる。 美優:「ほら、食べなきゃ勿体無いでしょー」 林檎:「み、みふぁ、ふぁふけへ~」 ※訳:「美紗、助けて」
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