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店員:「ぁ、はいっ。ストロベリーパフェお1つ、ウーロン茶お1つですね..」
唐突な注文にもすかさず聞き入れる店員。さすがプロ。などと内心に思いながら、美優も後に続く。
美優:「私は抹茶パフェと紅茶で..」
組み合わせが若干微妙な姉妹。
店員:「抹茶パフェお1つ、紅茶お1つですね..。以上で宜しかったでしょうか?」
手馴れた感じにさらさらと注文内容をメモ取りしながら、素敵な笑顔を向けてくる。
美紗:「おっけぃでーすっ」
店員:「かしこまりました」
そう言って軽くお辞儀をして、踵を返す店員。
美優:「…」
店員の後ろ姿をじーっと眺め続けていると、ふいに姉が、「みゅう?どした?」と身体ごと首を傾けて顔を覗き込んできた。
美優:「うん、ウェイトレスって、なんとなく憧れるなーって思って..」
先程の店員が見えなくなるまで目で追いながらそれに答える。
美紗:「ふぅむ、みゅうのウェイトレス姿か..。なかなかアリだと思う!」
一体、腕を組んで真面目に考える素振りをしながら言い放つこの姉は何を想像しているのだろうか…。
美優:「ね、お姉ちゃん..」
ふと、美優が水の入ったコップに両手を添えながら、若干上目遣いで姉の顔をうかがう。美紗は、「ん、なぁに?」と微笑んで言葉を返す。
美優:「今、私と一緒に居て、楽しい?」
その言葉に、「何言ってんのさぁ」と笑ってくる姉。
美紗:「みゅうと一緒に居るときは、いつも楽しいに決まってるじゃん」
その言葉に、「そう、良かった」と返す美優はとても満足げな笑みを浮かべた。
そんな会話を続けていると、それぞれの注文品がテーブルに並べられていく。姉は、「いただきまーすっ」とすかさずスプーンを振りかざしている。
と、そのスプーンの上にさっきまで無かったはずのモノが乗っかっている。正確には、姉の斜め後ろに見える外のずっと奥に浮かぶシルエットが、ちょうど姉の持つスプーンに乗っているように見えるのだ。
美優:「見て、あそこ。月が..」
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