―序―

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  「タクト君。彼氏はアルバイトをしているの?」  学校はアルバイトは禁止、してる訳がないだろ。 「うい」  タクトが眼鏡を軽く指で持ち上げ、紙に何かを書き。 「うい」  書いた紙を持ち上げた。  【土日、ファーストフードで働いてる】  それなら、口で話せ! 「そう……! なら、優助君。明日さっそく、その彼氏の尾行をしなさい」  おい変な事をひらめくんじゃない。そして、タクトお前の口元が笑ってるぞ。 「明日って、バイト先は?」 「バイト先……タクト君」 「うい」  【駅前のモック! グフッ!】  おい、グフッ!ってなんだ。 「優助君、駅前らしいわよ」  あぁ、俺も見たから知ってる。だからタクト、変な笑みを浮かべるな。  でも、仕方ない。これも一応、部活の活動だ。心は晴れないが了承するしかない。 「あぁ、場所は分かった。どうせバイトが終わってからの尾行だろ。じゃあ俺は何時ごろから張り込めばいいんだ?」 「タクト君」 「うい」  【すまん、知らん。始まりは二時からなんだが】  始まりが分かって終わりを分からないだと? お前、ちゃんとそこを調べとけ! やばいなんだか嫌な予感が胸をよぎる。  
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