―序―

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  「別にいいじゃない。二時から張り込めば、それで彼氏が出てきた所で尾行開始よ。いいわ、完璧じゃない!」  全然、完璧ではない。断じて違う。いいか亜理砂、二時から何時に終わるか分からないバイトを俺は一人で待たなくてはいけないんだぞ。 「我ながら完璧な作戦ね、よしこれでいきましょ」 「おい、ちょ――」 「決定!」 「ういー」  こうなってしまったら何を言っても無駄だ。最悪だ、実に最悪だ何だかもう、帰りたくなってきた。 「張り込みと尾行ってなれば何が必要か分かる?」 「さぁ、全く検討もつかん」  寧ろ、質問の意味がわからん。 「ちっちっち、本当に甘いわよワトソン君」  だから、そう言って俺を見るな。 「張り込みと尾行で必要な物それは――」  やめろよ、どっかの刑事ドラマでもあるまいし、あんパンと牛乳のコンビなんてのは。 「変装よ!」  ん? 今なんて言った!? 「今なんて?」 「だから、変装よ変装!」  よし、帰ろう。
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