―序―

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  「と、なると変装の服が必要ね。タクト君お願い」 「うい」  タクトの眼鏡がキラリと不気味な光を浮かべ、コンピューターのキーボードを物凄い速さで叩く。  そうだ確か、あそこの棚にこの前買ったクッキーを隠したんだった。  亜理砂の後ろをなに具わぬ表情で通り過ぎると本棚の下の棚に手をかける。 「これだ、これ」  クッキーの入った缶を手に持つ。缶の蓋を開けた時、タクトの方からプリントをする音が聞こえた。 「うい」  タクトがプリントした紙を持ち上げる。 【女装でいいんじゃない!】  缶の中は既に空だった。物凄く食べたかった訳ではないが……ふざけるな。  
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