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高校二年、五月某日の春。窓からそよぐ風に香る桜の匂いが俺の鼻をくすぐった。それで、ふと目を覚まし気が付けば授業が終わってるという最悪のシナリオが目の前に広がっていた。
「なぁ優助、お前今日も部活?」
真向かいの席に座る守が身を乗り出して話して来た。おいお前、人の机にもたれ掛かるのはいいが筆箱を押し潰すんじゃない。
「まぁな、残念ながらそんな感じだ」
「ふーん、そっか……」
「もしかして、何かあったのか?」
「いや今日、三時から妹の発表会でさぁ。良かったらお前もどうかなって思って」
…………。
「すまん。今日は部活だ」
誰が楽しくて友人の妹の発表会をそれまた向こうの家族と一緒に見なければならないんだ。でも守の妹は確かに可愛いんだがな。
守も守の両親達も相変わらず妹ラブときたものだ。まぁ、確かに守の妹は可愛いんだがな! すまない守の妹、俺には無理だ。
「そうか、じゃあまた誘うよ」
「あぁ、すまないな」
クラスの皆の談笑が響くなか、何時もの様に帰り仕度をした。かと言って家に帰れる訳でも無く、
――その時はやって来た。
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