―始―

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   くー、なんて彼氏だ! こんなにも、か、いい人そうな人を悲しませるなんて。 「見た。では浮気相手が誰かを知ってるって事ですか?」 「いえ、その友達もバスの中でチラっとしか見てないから、誰かは分からないって言ってました」 「そうですか……」  誰かは分かっていないわけか。彼氏が浮気をしてる可能性が零ではないようだ。 「ねぇ、その子は顔を見てないんでしょ。なら貴女とは思わなかった訳?」  確かにその通りだ。普通なら真央さんと思うだろうしな。 「髪色が違ったらしいです。その女の子、髪色が茶髪だったらしくて」  髪色、真央さんは黒髪だ、それで相手が茶髪。だからその友達も真央さんでは無いと分かった訳か……。 「それを彼氏に聞いてみた?」  亜理砂の目付きが変わった。変なスイッチが入ったか。 「いえ、聞けず仕舞いで……」 「いいわ、そっちの方が好都合よ。で、依頼内容は彼氏が浮気をしてるのかどうかよね?」 「はい、そうです……」   「ちょっと、まだ彼氏が浮気をしてるとは決まってないんじゃないか? へたをすりゃ、たまたま会った友人と話をしてただけかも知れない訳だし。変な疑りをかけて何でもなかった時こそ二人の仲に問題がでるだろ」
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