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わかって、いたけど……。
別れた……けど。
現実で見るのは、やっぱりツライ。
自然と涙がポロポロとこぼれ、あたしは口元を 押さえ、声を殺した。
その場から逃げたくて、動かない脳、心、身 体、足に命令した。
気付かれないように。
なのに、自分でも信じられないぐらい、動揺し ていたのだろう。
開けた時は、低くて鈍い音だった扉は、閉めた 時、気付かれたくない時に限って……バタンっと 音を立てた。
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