君と見た空

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━2━ 『全員揃ってるか?』 『…南さんと 放射線科で油売ってる悠太がまだですけど?』 『…ちっ …南さんはともかく… 悠太の奴…また蘭の所に行ってやがるのか…』 『…まぁ…あいつらは まだ付き合って一ヶ月のカップルだしな… 少しだけ大目に見てやってくれねぇか?』 苦笑いしながら悠太を庇う鮎さんが チラリ…と僕を見る 『…そういや純 翠の知ってる面子っつーとあれか? 永瀬はどうなんだ?』 『永瀬さん? 鮎さんが翠ちゃんに会わせた事がなければ 知らないんじゃないかな 翠ちゃん、永瀬さんって知ってる? 弓道サークルにはいなかったけど 鮎さんの飲み仲間』 翠ちゃんは暫く考えるようにして 『永瀬さん…ですか? その人って… 鮎さんが 【またあいつ、競馬で負けて俺に酒奢れって言ってきやがった】 って…その人ですか?』 『…ああ…そいつだ』 永瀬さん… 最初からイメージ悪すぎだよ 『永瀬は作業療法師だから 医療チームにはいねぇが リハビリで世話になることも出てくるはずだし 後で挨拶がてら連れていってやるよ』 翠ちゃんはコクン…と頷いて 少しだけ頬を緩めて 笑顔を見せる もう大丈夫だね 『後は…あいつらが来るのを待つだけか』 土谷さんがドアを振り返ると同時に ━コンコン…ガチャ ドアが開いて 南さんと悠太が 漸く顔を出した 『遅れてしまって…申し訳ありません 悠太君が なかなか彼女から離れてくれず…』 『ちょっ…南さん!! それは言わないでっつったじゃん!!』 『…悠太… てめぇは女の事しか頭にねぇのか』 土谷さんの眉間に 全員の視線が集まって 悠太の顔はひきつっている 『んなことねぇって!! 俺はただ 先月骨折した患者の画像を確認に行ってただけで…』 『悠太の言い訳なんて どうでもいいから 早く要件済ませましょうよ』 『純!! どうでもいいってなんだよっ!!』 『あーうるせぇ!! 純も悠太も黙りやがれ!! みんな暇じゃねぇんだ さっさと要件に移るぜ』 『…俺悪くねーし…』 『はいはい、そうだな』 口を尖らせる悠太を 鮎さんが宥める姿も いつもの事だけど これから翠ちゃんにも同じ事があるよね きっと 翠ちゃんは 昔から鮎さんになついてたから なんか…突然涌き出た嫉妬みたいな感情に 僕が…? まさか…ね
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