君と見た空

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『…翠、ここに来い』 土谷さんは私を呼んで みんなの前に立たせると ポン…と私の頭を叩いて 『久しぶりだな、元気だったか? 随分女らしくなったじゃねぇか』 私にだけ聞こえるような 小さな声で話ながら笑った 『土谷さんが御世辞なんて似合いませんよ? 今回は私なんかを呼んで下さり ありがとうございました』 『…ったく… 気が強いのは相変わらずだな』 苦笑いを浮かべて また笑った 『…土谷さん? 何二人でコソコソしてるんです? 気に入らないんですけど』 白衣のポケットに手を入れたまま立ち上がった霧生さんは 面白くなさそうに 土谷さんを睨み付ける 『コソコソなんてしてねぇ… なんでお前はそう突っかかってきやがる… まぁ…いい 本題に移るぜ 先日みんなに話した通り 新しい医療チームの看護師が今日から赴任した 水木翠だ 顔見知りだし 見りゃわかるだろうが 一応顔見せって事で 簡単に自己紹介だけさせてくれ 翠、お前は自分でしろ』 『水木翠です 緑ヶ丘総合病院から来ました 宜しくお願いします』 自己紹介は…正直苦手 早く終わらせたいのに ……………………… …………えーと… 『おい…他に言うことねぇのか?』 『ない…ですけど?』 『ぷっ…あははっ… 最高!! さすが翠ちゃん』 霧生さんが爆笑してるけど土谷さんのコメカミには 青筋が立っている 【…少しは何かあるだろうが…】 小さな溜め息と 呟きが聞こえるけど だって…苦手なんですって 『まぁ…いいじゃねぇか こいつの事なんてみんな知ってるんだしよ こっちもさっさと自己紹介するぜー』 鮎川さんっ… 助けてくれたっ… やっぱり…今も昔もいい人だぁ
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