君と見た空

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━20━ 『純!!いるか!?』 『…いますよ まだ診察中なんですけど』 鮎さんが小児科に顔を出すなんて珍しい 廊下にはまだ 数人の予約患者が控えてるのに わざわざ診察中に入ってくるなんて 急患の連絡も受けてないし… 一体何事? 『…ここは俺が代わる お前はすぐに仮眠室に行け』 ……は?仮眠室? 『何なんです? 突然藪から棒に…』 全く状況がのみ込めない 『…翠が倒れた』 ………っ… 『…どういう事…? 翠ちゃんが倒れたって…』 『どうもこうもねぇよ!! 翠がリハビリ室で倒れた だから早く行け!! 患者のカルテだけ 先に見せてくれ』 鮎さんに言われるまま 次の患者のカルテを預けて 状況を整理できない頭で とりあえず 仮眠室に向かった 翠ちゃんが倒れた 不安が 身体の体温を叙々に奪っていくようで 足も自然に早まる 最近…翠ちゃんとゆっくり話をする機会がなかった 彼女が僕を避けてるように見えたのは多分 気のせいじゃない きっと 僕に会うことで 色んな思いが 君を苦しめてる 君をそうさせたのは …僕 後悔とか 自分に対する怒りとか ただ…君に申し訳なくて ねぇ…翠ちゃん 今の僕が 君に出来ることは… 何…?
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