君と見た空

120/194
前へ
/194ページ
次へ
『翠ちゃん…っ』 仮眠室のドアを開けると 点滴を処置された翠ちゃんが寝ているベットの横で 南さんが脈を測っていた 『…来ましたか』 『南さん… 翠ちゃんは…』 『はい… 大分落ち着いてきた所です… 脈も正常になりましたよ 永瀬君がすぐに知らせてくれたので助かりました』 永瀬さんが…? あ… そう言えば整形外科にヘルプだったんだっけ に…しても 『倒れた原因は?』 横になって眠る翠ちゃんの顔色は …まだ優れない 『…多分…体力的な疲労 後は…ストレスでしょうか』 …ストレス… 『ただ… 詳しく調べないと 正常な判断はできかねますから… 今週はちょうど看護師も 健康診断の定期健診がありますし 私も注意してみますよ』 最近 夜勤の日にちも増えて 人が足りなくて そのまま日勤… なんてことも頻繁だったみたいだし 少しは休んだ方がいいのかもしれない ストレスの原因はきっと …僕だけど 『…霧生君… 申し訳ありませんが 私も急ぎの仕事がありまして… 後を貴方に頼んでも宜しいでしょうか?』 『…わかりました』 『一応、この点滴が終わりましたら 処置も終了ですので 今日は自宅に戻らせた方が宜しいでしょう できたら二、三日休ませるのが いいと思いますが… 貴方に任せますよ』 それだけ言うと 南さんは出ていった 南さんが座っていた椅子に腰をかけて 改めて翠ちゃんの顔を見ると なんだか…痩せたみたいだね 何でも話してくれた君が 懐かしいよ 君の事なら何でも知っていたのに 今は君の事 何もわからない 額に掛かった髪を払って 頬に手を充てると 少しだけ重たそうに ゆっくり …目蓋が開いた 『…き…りゅう…さん…?』
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3786人が本棚に入れています
本棚に追加