君と見た空

121/194
前へ
/194ページ
次へ
……?… 頬に手の温もりを感じて そっと目を開けると なん…で…? 『…き…りゅう…さ…ん?』 『やっと気が付いたみたいだね』 私…どうしたんだろう 確か…リハビリ室にいたはずなのに ここは…仮眠室だよね…? 点滴の刺さった腕と ダルい身体に 自分が倒れた事を知る でも 『なんで霧生さんが…?』 『…なんでって 早く行け…って鮎さんに言われたから』 鮎川先生… どうしてこんな事… 私の気持ち わかってるのに…っ… どんな顔して 霧生さんを見ればいいのか …わからないよ 彼女への嫉妬と 精一杯制御してる 霧生さんへの気持ち そして 浮かんでは消える 佐々木さんの…顔 『…顔色…よくなってきたかな…』 ……っ… 私の顔を覗き込む霧生さんに 思わず手元の毛布で顔を隠すと クスクス… 久しぶりに聞く 霧生さんの笑う声 『…何もしないよ …あ…それとも 何か期待した…とか?』 『…っ…ちがっ…』 ━ガバッ…━ ……あ 否定しようと必死で 反射的に 顔を出してしまって もう一度 毛布を引き上げようとするけど 『…ザンネン』 先生の手が しっかり毛布を掴んでて 『…ちょ…っ… 放して下さい~っ!!』 『それはできない相談かも』 …でた ニヤリと笑う霧生さんの この顔 昔から… 私に意地悪する時の…顔 『ねぇ…翠ちゃん』 静かに話す声は 優しいけど 止めて… 今…何か言われたら きっと…泣いてしまうから 『翠ちゃん』 『嫌です』 『…何が?』 『わからないけど嫌…っ 聞きたく…ないっ』 しっかり目を瞑って 押さえ付けられた毛布を必死で引き上げる 嫌なの… 霧生さんの話 …聞きたくない だって…自分が傷つきそうで… …怖いんだもん 固くなに拒否をする私に 掴んでいた手が 毛布から離れた やっと…解放された バフッ… 再び顔を隠したけど 自分でも何がしたいのか わからなくなってきて はぁ… 霧生さんの溜め息が 部屋に響いた ……………… 『…葉瑠ちゃんとは 別れたよ』 ……え… …別…れた…? 霧生さん… 今…別れたって言った…?
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3786人が本棚に入れています
本棚に追加