君と見た空

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やっぱり… まだ身体が本調子じゃないのかな 昼休みになった途端 疲れがどっと出て 取り合えず …って頼んだ定食も 食べる気にならない 勿体ないよね… でも…あんまりいらないんだもん… お箸がお膳の上を いったり来たり これじゃ…お行儀が悪いって… 良さんに叱られそう …………… 良さん…か この間… 霧生先生と良さんの所に行ってから どのくらいたったかな… 実際はそんなに経っていないのかもしれないけど… 随分昔のような気がする …また… 行ってみようかな 弓を引けば 少しは気が晴れるかもしれないし 次の夜勤明けにでも… カタン…━ …ん……? 『…翠ちゃん…っ』 『お前…全然食べてねぇじゃんっ!! そんなんじゃ いつまで経っても身体戻らねぇぞ?』 目の前に突然現れたB定食が二つ 同時に 向かいの席に腰を下ろす 悠太くんと蘭ちゃん 『…あ…うん、そうだね… わかってるんだけど… なかなか…食欲湧かなくてさ… まだ口付けてないから… 悠太君食べる?これ』 『えっ…マジで?食う!!』 『どうぞ』 …ゴンッ…━ 『ばか言ってんじゃねぇよ…っ… ちゃんと翠に食わせろ』 ……え…? 『…っ… …いってぇ!!! 何だよ鮎さんっ!!』 いつの間にいたのか 悠太君の背後には 握り拳を掲げた鮎川さんの姿に 頭を擦っている悠太君 …これ…私のせいだよね…? 『えっと…鮎川さん? これ…私が悠太君にあげるって言ったんですけど…』 『そーだよ!! 俺が無理矢理取ったんじゃねーし!!』 『それなら尚更よくねぇじゃねぇか 病み上がりにしっかり食事を取るのは基本だぜ? んなこたぁ看護師してりゃわかるだろうが 食いたくなくても 少しくらいは腹に入れとかねぇと 治るもんも治らねぇ …違うか?』 妙に説得力のある鮎川さんの言葉に 言い返す言葉を探すけど… 上手い言葉が思い当たらなくて 結局… 『…わかりました 少しだけ…食べます』 『わかりゃいい』 鮎川さんは それだけ言って ワシャワシャと私の頭を撫で回すと 満足そうに 食堂を出ていった
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