君と見た空

128/194
前へ
/194ページ
次へ
『鮎川先生…ね…』 『……え…?』 鮎川さんの後ろ姿を見ながら 蘭ちゃんが 少しだけ躊躇いがちに …話し出した 『…鮎川先生 翠ちゃんが休んでる間… 翠ちゃんの事 凄く心配してたんだよ 【早く楽にしてあげたい】 って…』 …うん …わかってる 昔馴染みだけあって 鮎川さんの目を見れば それは痛いほど伝わってきたから 鮎川さんが言ってた 【純は正直になった】 あれは… 彼女と別れたって事を言ってたのかな… でも… 何で別れたのか… 私にはわからないから 何を正直になったのかだって わかるはず…ないのに ただ…さっき 診察室で不意に近付いた 霧生さんとの距離は 私が… 佐々木さんの彼女になる前の 霧生さんに… 彼女ができる前の あの日 屋上での感じた距離と …同じだった 【…期待しちゃったら… どうするんですか…】 思わず口から出てしまった言葉は 霧生さんに 聞こえてたかは …わからないけど あの夜 確かに 私の中の霧生さんの存在は 何かを…越えた 本当は…気付いてたのに それを認めなかったのは… 私
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3786人が本棚に入れています
本棚に追加