君と見た空

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『………い…』 ……… やっぱり…話し声… 『…は……い …はい…わかりました…』 ……… これ…翠ちゃんの… 『今からだと…後… 20分くらいで着きます はい…じゃ…』 ちょうど玄関を出た所 携帯で話をしていた翠ちゃんの姿 相手は多分… 『…佐々木…?』 『…っ…霧生さ…ん…』 勢いよく振り向いた君の顔 何でそんなに泣きそうな顔…するのさ 『…これから会うんだ?』 『…は…い』 『…そう… 病み上がりなんだし 気をつけなよ? …って 僕が言わなくても… 佐々木がついてるんだし 大丈夫…か』 …こんな事言いたいんじゃないのに 君の事が気になって 心配だ…って 本音を言えたら どんなに楽になれるのかな… 『…これ以上… 霧生さんに 迷惑かけないようにしますね…っ…』 ニッコリ笑った顔から 一瞬覗かせた泣き顔 こんな顔見せられて… 惚れた相手を 他の男の所に行かせる程 僕はお人好しじゃない ………っ… 『…霧生…さ…っ!?』 強引に抱き寄せた君の小さな身体は 僕の腕の中にスッポリ埋まって 『…君を行かせたくないって言ったら… …どうする…?』 答える代わりに 必死で首を振る翠ちゃん 『…ちゃんと… 今の君の気持ち 聞かせてくれないと… ずっとこのままだから』 『……っ…!!! …………………… …私…は 今…佐々木さんの彼女です…っ… 例え…っ 私の…気持ち…が …誰にあっても…』 君の瞳は 真っ直ぐに …僕を映す けど 『私…行きますね…』 腕の中から ゆっくり離れていく彼女を 引き留める事ができなくて 結局 佐々木の彼女である事実は… …変えられないんだ…
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