君と見た空

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━21━ 『…すみません…っ お待たせしました…っ…』 『全然待ってねーから 俺も今来たとこだし』 待ち合わせの駅前広場 通勤帰りの人で ごった返していた中に マフラーを口許まで覆った佐々木さんを見付けた 今夜は週末 人通りも多い 仕事休んでたから 一週間が早く終わったような錯覚で 『お前…明日は仕事なんだろ? 病み上がりなのに… 全く…無理すんなよ…』 『はい…でも いっぱい休んでしまったから… せめて休日一日くらいは出ないと 皆に申し訳なくて…』 『…頑固な奴 そこまで言うなら止めねぇけど 無茶するんじゃねーぞ』 諦めたように笑みを浮かべてクシャクシャと 私の頭を撫でて フワリ…と肩を抱いてくれた ………………… 肩に感じる暖かい温もりは また… 私の心を揺らす この温もりに甘えたくなる …けど 頭に過る…霧生さんの顔 例え 兄妹としてだったとしても 【行かせたくない】 そう言ってもらえただけで もう…十分 霧生さんにとって 私は恋人の対象にならないかもしれない 好きでいても 辛いだけかもしれない 彼女と別れた理由や 霧生さんの気持ちは 私にはわからないけど このまま 佐々木さんと一緒にいて 自分の気持ちを偽るくらいなら 私は… 霧生さんへの気持ちを 押さえ付けてでも 自分に正直でありたい それは…きっと 佐々木さんも同じじゃないんですか…?
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