君と見た空

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『…翠、お前さ… …何か最近悩んでるだろ』 食事を終えて店を出た途端 二人になるのを待ってたかのように 佐々木さんが口を開いた 『……いえ…っ… …別に何もないですよ』 突然…振られた問いかけに 自分でも呆れる程 動揺が隠せなくて 逸らしてしまった目は 確実に游いでる 誤魔化す為に 口許までマフラーを引き上げてみたけど 佐々木さんの視線は…真っ直ぐに私を突き刺している 暫くして ━はぁっ…━ 低い…溜め息 佐々木さん… 怒って…る…? どうしよう… でも…っ…だって… 『…霧生となんかあった?』 『…え…っ…』 【霧生】のワードに激しく動揺してしまう私は ほんとに…空気の読めない女だと思う 『お前にそんな顔させんの… 霧生だけだろ? まだ俺は… 霧生以上になれてねぇし?』 苦笑いの奥に見栄隠れする佐々木さんの葛藤 きっと…彼は迷ってる 奥底に疼いてる 本当の…気持ちに 私を想ってくれてるのは嘘じゃない けど それ以上に大事な人の存在… もう…本当の事 聞かないと 前に…進めないから …聞こう 佐々木さんの…気持ち 胸の前で握りしめた両手に グッ…と力が入る 『…佐々……』 『…鷹…っ!!』 ………え…っ…
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