君と見た空

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……鷹…? 鷹…って…佐々木さん? 背後から聞こえた 佐々木さんを呼ぶ 女性の…声 振り返ると 華奢な… 可愛らしい女性が 今にも泣き出しそうな顔で立っていた 『真理亜…』 真理亜…? 真理亜って… まさか…この女の人… 『…鷹っ!! どうして急に連絡くれなくなったのっ!? いつの間にかマンションまで変えてて…っ… 大体あんなメールだけで 私が納得できるわけないじゃない…っ… 私は…まだっ… 別れたと思ってないから!!』 ……やっぱり… 佐々木さんの 幼馴染みの…彼女 私の事なんて 全く目に入っていないのか 佐々木さんの胸にすがり付いて 必死に訴える彼女に 佐々木さんの腕が 彼女を突き放した 『…っ…!! なんでだよ…っ… やっと…っ… お前を…忘れられると思ったのに…っ…!! 俺がどんな思いで お前から離れたか… なんで…俺の前に出てくるんだよ… なんで忘れさせてくれねぇんだよ…っ!!』 『…っ… 私に気持ちがなくなったのなら諦める それならそうって はっきり言って? 私だって…っ いつまでも鷹が心の中から消えないんだから!!』 『…お前はあの病院を継がなきゃなんねーんだよ 俺と一緒になんていられねーの… 他にもっと釣り合う相手がいんだよ』 『…そんなの答えになってない…っ!! 釣り合う相手って何!? 私に好きでもない人と一緒になれって… 鷹…本気で言ってるのっ!?』 信じられない… そんな目で 口許をカタカタ震わせて 彼女の 見開いた大きな黒い瞳からは ポロポロと涙が溢れてる 『…俺もう…行くから』 ショックで声を失ってる彼女に背を向けて 佐々木さんは歩き出してしまう 聞きたかった佐々木さんの気持ち こんな形で知ることになるなんて… 佐々木さんは… 彼女を忘れる事が…できてない これは…私が目の当たりにした事実
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