君と見た空

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いつも通りの朝 空は明るいけど カーテンを揺らす風は まだ冷たくて 眠気覚ましの珈琲は なんとなく…味気ない 昨夜は 山谷さんの店で 少しだけ飲み過ぎてしまったから さっき飲んだミネラルウォーターも…イマイチで 参ったなぁ… 朝…予想外だった 鮎さんからのメール 【急な用事ができたから 今日の休出代わってくれ】 …なんて 鮎さんの急な用事が何なのか 聞きもしなかったけど 断る理由がなかったのは… 僕の運が悪かったって事 今日は早めに行って モチベーションを上げないと… 身体がついていかない気がする 取り合えず 身支度だけ整えて 車に乗り込む 途中… 頭に過るのは 昨夜 僕の腕からすり抜けて行った …翠ちゃんの後ろ姿 あの後…君の事が気になって 少しづつ近付いていた 翠ちゃんと佐々木 二人の関係が どう…なったのか そんな… 僕にはどうすることもできない事を 車内のBGMも耳に入ってこないくらい 考えてしまうなんて 『あり得ないよね…』 自分でも可笑しいくらい 君の事が気になって …欲しくて 堪らないんだ 自ら手離してしまった 大事な物 待っていても戻って来ないのなら 自分の手で …取り戻す それが…筋だよね 出勤時間より 随分早く着いてしまった 職員玄関は 人気もなくて それが今の僕には妙に心地好かった
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