君と見た空

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『…じゃ…次は俺な 翠とは看護科でも サークルでも一緒だったもんな ちゃんと看護師やってるぜ』 『悠太君がいるとは思わなかったよー 包帯の巻き方 散々苦労してたけど できるようになった?』 『…いつの話だよ… 当たり前だろ? あれから何年経ったと思ってんだよ それよりお前だって 採血の針 一発で入れられるようになったのか? 絶対三発はぶちこんでたじゃん』 『…当たり前でしょ… あれから何年経ったと思ってんの?』 静かに火花を散らす二人の間に 南さんの手が スッ…と遮った 『お二人共お止めなさい 全く…子供じゃないのですから… 土谷君をご覧なさい… あんなに青筋を立ててるじゃないですか』 …確かに 青筋ばかりか眉間も凄いことになってるよ… 『では…最後は私ですね 私は一応内科医として やらせて頂いてます 翠さんとは… あの最後の県大会以来…でしょうか… あと一歩で優勝逃してしまって… 貴女が泣いた姿を見たのはあれが最初で最後でしたね』 よく覚えているね…南さん そう…確かに 後一歩届かなかった優勝 翠ちゃん、悔しくて 僕に泣きついてきたっけ 『…あれから随分経ったんですね…』 ふいに呟いた南さんは 眼鏡の奥の瞳を 懐かしそうに細めた 『…これでみんな終わったな んじゃ最後は俺だ 俺は外科 一応医科部長をしている 今回のプロジェクトの責任者だ 宜しく頼む』 『…はい、宜しくお願いします』 翠ちゃんを加えた医療チームは 総勢7名 これがこれから この病院の看板チームになる …なんて言ったら また逃げるかもしれないね
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