君と見た空

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今日は午前の診察も少なくて 午後からのオペも特に難しいものではなかったから 予定より早く 医局に戻ってこれた 医局の中は比較的のんびりしていて 看護師からの差し入れ…とかいう お菓子を皆でつついている ガチャ…━ 『鮎さーん… ちょっとこの書類書いて貰えねぇ? あっ… うまそうなお菓子があるんじゃん!! 俺も~』 『悠太 先に書類出せよ 何しに来たかわからねぇじゃねえか…』 『ん…っ…わりぃ はい、これ 来週まででいーから』 『…ったく…』 食い意地の張った悠太は この際どうでもいい 南さんに頼まれてた 来週行われる スタッフの定期検診のリストに目を通しておかないと… 『…あ…純 そういえばさっき メーカーの営業に 翠、口説かれてたぜ? なんか…飯に誘われてたみたいだったけど』 …メーカーの営業に? 『…どこの?』 『Kメディカル』 『Kメディカル…? ああ…先週 心カテ用の器具サンプル持ってきた…あの業者?』 確か… 今年、新しくうちの担当になったとか言ってた 新人が早速女漁り? 全く… いい度胸してるよね 本当は 心カテ用に新しく買い変えたい器具があったんだけど 『…あ…っ!! で、でもさ 翠、断ってたし 心配いらねーよ』 『そういう問題じゃないと思うけど?』 『純…っ 落ち着けって…な?』 『業者が仕事しないで そんな事してること自体 よくないんじゃない? 上司に報告…しないといけないかもね 今後一斎 お宅との取り引きはしません…って』 『ちょっ…純…!!』 『純…私情挟みすぎだろ』 鮎さんの 呆れたような 大きな溜め息 だけど 『私情挟んで何が悪いんです? 鮎さんには関係ないかもしれませんけど。 翠は僕のですから』 そう… 翠ちゃんは僕の 本当は 他の誰も…近付けたくないんだ でも 業者になんて声かけられちゃうなんて… ちょっと… 隙があるんじゃない? お仕置き…必要かな
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