君と見た空

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『あ…っ…霧生先生 ちょうどよかったです!! 今…先生が見たいって言ってた 心カテ用のサンプル 業者さんが持って来てくれましたよ? 今…廊下にいますけど 呼んできましょうか?』 『業者って…Kメディカル?』 『そう…ですけど』 …まだいたの わざわざ僕を待ってたんだろうけど まぁ…ちょうどいいかもね わからせてあげるよ 人の物に手を出したら …どうなるのか 『いいよ、こっちに通して』 翠ちゃんに呼ばれて 診察日に入ってきた 若い男性 営業スマイルを振り撒いて 手にしたサンプルを 誇らしげに差し出してきた 『こちらが当社で用意させて戴いたサンプルです 霧生先生が仰っていた物に間違いないと思うのですが』 確かに見たいと思っていたのはこれ よっぽど自信があるのか 早々注文書らしきものを鞄から取り出して 用意してる とりあえずサンプルを受け取って 商品の説明を受けて 一応…仕事はさせてあげた けど 『これって…他社にもある?』 『あ、はい 他社にもございますが… うちはどこよりもお安くご提供させて頂きますので』 『そう…じゃあ』 『はいっ…!!ありが…』 『いらない』
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