君と見た空

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外で軽く食事を済ませた後 霧生さんの家まで 車で数分 着いたマンションは 我が家とは全く比べ物にならない 立派なマンション さすがドクターは…違うよね 『お邪魔します…』 『どーぞ』 霧生さんの家なんて 何年振りだろ 最も昔お邪魔していたマンションとは 全然違うものだけど 『わぁ… なんか昔と雰囲気は変わりませんね』 中の部屋の感じは昔と然程変わりなくて シンプルで オシャレで あの頃も 霧生さんの部屋は 自分の部屋より落ち着ける空間だった 『適当に座りなよ』 キッチンのカウンター越しに 珈琲の香りを漂わせて こんな風に声を掛けてくれるのも …変わらない それがなんだか嬉しくて 心の中は ほっこり…温かい 『…何笑ってるのさ』 『…え…っ…』 今…私笑ってた!? クスクス…ッ 霧生さんは笑いながら キッチンから出てきて コトン… 『…はい、珈琲』 珈琲を二つ テーブルに置くと 私の隣に腰を下ろした 『…なんか …久しぶりだね こーゆーの』 カップに口を付けて ふぅ…って吐く 霧生さんの吐息が 艶っぽくて 整った横顔を つい…見つめてしまう 『…そんなに見つめないでよ いくら僕でも恥ずかしくなるじゃない』 『…っ…すみません…っ』 『…あははっ… 嘘だよ 翠ちゃんに見られるなら大歓迎』 そう言いながら カップを置いて 私の身体をフワリと包み込む 『君をこの部屋で こうして抱き締める日が来るなんて… 思わなかったよ』 耳元で囁かれる 甘い甘い霧生さんの声は 身体の力が抜けてしまいそうな そんな…声 『…私も…思いませんでした またこうして一緒にいられるなんて…』 一度は諦めた恋だったから 二度と…離れたくないの 『…君が拒まなければ このまま僕のものにしちゃうけど …いいよね?』 いいよね? そう問い掛けながら ゆっくり落ちてくる 深くて甘いキス 身体のラインを しなやかに這う指 拒めるわけ…ない…よ
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