君と見た空

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『………純…… …純…っ!!』 ……え… 『なーにボーッとしてんだ?』 ふと…顔を上げると 目の前には 怠そうに髪を掻き上げる 鮎さん 『…ん…別に… なんでもないですよ』 誰もいないドクター用の 休憩室 この珈琲を買って座り込んでから どのくらい経ったかな… 温かかった珈琲は 既に冷たくなってしまった 『なんでもないにしちゃぁ… 心…ここにあらず…って見えるが?』 やっぱり…ね …鮎さんの的確な観察力は ごまかせない…か 『ねぇ…鮎さん 顔色がすぐれないのと 急激な体重の減少 さらに 呼吸と心拍の乱れ …異常がある証拠だよね?』 『なんだよ…突然 まぁ…確かに 急激な体重の減少や 心拍、呼吸の乱れが見られるようなら 呼吸器系… 更に胸の痛みがあるなら 心臓系… 色々あるが… それはお前の分野だろうが お前の方がよくわかってるはずじゃねぇか』 『…だよね…』 まさか…とは思うけど 僕の思い過ごしならいいんだけど 『…気になる患者でもいんのか?』 『………………』 『…ん…? まさか知り合いか…?』 『……………… …翠』 『……っ!? 翠…って そりゃ なんかの間違いじゃ…』 僕だってそう思いたい だけど 『翠ちゃんが 身体の異常を 隠そうとしているのが …わかっちゃったんだよね さっき… 微かだけど 呼吸の乱れを感じたし 以前彼女が倒れた時 実際心拍にも…異常があった それに 翠ちゃん 最近急に痩せたと思わない?』 僕の問い掛けに 鮎さんは黙っていた 否定はしない…か 『…彼女はちゃんと気付いてるよ 自分の身体の異常 ちょうど今 定期健診受けてるから… 今は結果を待つしかできないけどね』 『…だな』 僕に隠し事するなんて … 困った子だね…君は
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