君と見た空

156/194

3784人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
『精密検査…』 医局に戻って来た南さんが 僕と鮎さんに告げた 翠ちゃんの病状 僕も知らなかった 彼女が過去に心臓病を患っていたなんて 彼女に感じた異変は 思い過ごしじゃなかった …って事か 『…10年以内に再発の可能性がある…って 確率的には多分40%位だろ? 翠が過去に とれだけの心臓病を患ってたかもわからねぇんだ この状況じゃ…今はまだ ハッキリした事は言えねぇ』 『…そうですが… ただ…再発していれば 再手術はかなり困難を要するオペになる事は間違いなさそうです』 『うん…』 困難なオペ… それは命の危険性を意味する 『今は…とりあえず 検査の結果を待ちましょう』 『…そうですね』 『…ああ』 そう…今… 僕たちにできる事は何もない もし君が心臓病を再発していたら…なんて 考えたくない… けど 本当に再発していたら? 心臓病は僕の専門 知識ならある オペもそれなりに こなしてきた 翠ちゃんの病状が 過去に扱ったケースと一致すれば 事は比較的上手くいくはず でも… 今回は10年目の再発 前回の手術から かなり時間が経ってる 気持ちは競るけど …まだ…何もできない 翠ちゃん 君は今… 何を考えてる…? 君が何も言わないから 僕は君に何も言ってあげられないじゃない
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3784人が本棚に入れています
本棚に追加