君と見た空

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━26━ 『何で何も言ってくれなかったのさ…』 定期健診の次の日 夜勤明けの霧生さんが 休みだった私の家にやって来て ドアを開けるなり 私を腕に抱いて 苦しそうに呟いた 『…やっぱりバレちゃいましたね』 『当然じゃない 僕を甘く見ないでくれる? メールしても返信返ってこないし… 心配したよ』 言葉はキツイけど 声は…優くて 『…すみません、心配かけて… 昨夜は早々寝てしまって メールに気付かなかったの』 抱き締められた腕が 一度離れ 辛そうな笑みを浮かべた霧生さんは 肩を抱いて 私をリビングのソファに座らせた 『今は具合…どうなの?』 『…少し…怠くて 微熱が続いてますけど 大丈夫ですよ』 『…それを大丈夫とはいいません』 大きくため息をついて 呆れたように コツン…と一つ 頭を叩かれる 『…精密検査だって?』 『…はい 来週から急遽 一週間の検査入院だそうです 病棟にも迷惑かけてしまって…すみません』 まさかこんなに早く 事が進むと思わなかった 少しずつ出てきてる検査結果が良くなかった証拠 事態は…深刻 『…君が心臓病を患ってたなんて…ね そんな大事な事 何で黙ってたの…? 最近 体調がよくなさそうだったのはわかってたけど…』 『私も 自分で異変に気付いたのは 先日倒れてからで… でも…心臓とは別って思いたかったから』 そう…正直 あれからずっと体調が芳しくない その都度 心臓の事がすぐに頭を掠めたけど だって…っ… 『…まだ…このまま… 幸せでいたかったの…』 もし 再発してたら…っ… 私…死ぬかもしれないから
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