君と見た空

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来週から検査入院 準備するものが有りすぎてキャリーバックの中は いっぱい どうしてこんなに荷物が多いんだろ… 部屋の中は 色んな物が散乱して 手伝いにきたはずの母は 手をつけられなくて退散していった それでも漸く纏まってきた頃 携帯が鳴った 【翠ちゃん?】 電話の向こうから 霧生さんの声 【霧生さん…っ…】 【入院の準備…できた?】 【今…やっと終わった所です こんな時間に どうしたんですか? 今日は夜勤じゃないんですか?】 【うん… 今、緊急のオペが終わって コンビニに飲み物買いに来たんだ 院内じゃ…携帯で電話できないでしょ】 わざわざ外に出て 電話をくれる そんな霧生さんの気持ちが嬉しかった 【ご両親も暫くこっちにいるの?】 【はい… 入院を済ませたら 父は一旦帰りますが 母は暫く付き添うそうです】 【そっか… じゃあ…ご両親にご挨拶しないとね 君の恋人として】 【…え…/// いや…あの…っ… ドクターとして…じゃなくて…?】 【うん…それはそうだけど 僕にしてみたら 君の恋人として…の方が 重要】 そんな事言われたら 昨日… 両親に言われた事 思いだしちゃうよ… 【…どうしたの…? 何か不都合でも…あるの?】 私の動揺を察した霧生さんの 探るような声 【いえ…っ…全く】 【だよね】 私の気持ちを気づいてるのか何なのか 耳元から クスクスと笑う声が聞こえる 【…翠ちゃん】 【はい】 【好きだよ】 ………っ… 【僕は君が好きだよ 誰よりも…愛してる】 繰り返される愛の言葉 少しでも聞き逃さないように 私は耳を…傾けた
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