君と見た空

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『準備…できた?』 週が明けて 検査入院に入る日 朝から母に急かされて 昼前になって やっと病室に入った わざわざ 土谷先生が用意して下さった特別室 かなり高い個室なのに 私なんかが使っていいんですか? って聞いたら 『純がしょっちゅう出入りするのに 他の患者と一緒じゃ不味いだろーが…』 溜め息混じりの苦笑いで 確かに… ここは素直に 有りがたく使わせて貰った方がいいのかもしれない ━…トントン…━ 『はい』 ドアを叩く音に母が出ていく 『失礼します 始めまして… 担当医の霧生です』 …あ…霧生さん 『霧生…先生? あ…ああ…っ… 娘のお付き合いしてる…?』 お母さん… ストレート過ぎじゃ… そんな母の言葉にも 霧生さんは動揺を見せる事もなくて 『はい…娘さんとお付き合いさせて頂いてます 今後とも…宜しくお願いします』 今後とも… 彼はしっかり母を見て …言った 『はい…こちらこそ 今後とも娘を宜しくお願いします』 霧生さんは満足そうに 微笑んで 『…じゃ…翠ちゃん また…後で 今後の説明にくるからね』 『はい』 母に軽く頭を下げて 部屋を後にした 『…素敵な人ね?』 『…うん…とっても』 そう… とっても素敵な人なの…
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