君と見た空

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………? なんか…気持ちいい ゆっくり頭を撫でられてる感覚 誰…だろ… 温かくて…優しくて ずっと…このまま… こうしていてほしい 目を開けたいけど 開けてしまったらこの手が離れてしまいそうで もう一度…眠っても…いいかな… 『…ちゃん』 ………? 『…翠ちゃん』 …この声…… 霧生さん…? 重い瞼を開けると 視界に飛び込んできた 霧生さんの瞳 『…霧生…さん』 『…やっと起きたね もう…夜だよ?』 …え…っ… もう夜? 私…どのくらい寝ちゃったんだろ 『あの…母…は?』 『今日は僕に任せて帰るから…って』 …ええ…っ… ちょ…っ… 『すみません…っ… そんな…』 『いいんだよ 僕、明日は休みだし 今夜は僕が付いてますって言ったんだから 幸い… 土谷さんのお陰で特別室だし? この部屋なら 僕一人泊まり込んでもなんの問題もないでしょ』 確かにそうだけど… だからって…っ お母さん 霧生さんに付き添い任せちゃうなんて…っ… 霧生さんだって仕事で疲れてるのに… 『なんか…すみません 急に…こんな事頼んで…』 申し訳ない気持ちが先立って 霧生さんが側にいてくれるって嬉しい気持ちも素直に喜べない そんな私を霧生さんは 優しく抱き締めてくれた 『僕が君と離れたくないんだよ? 少しでも離れていたくない こうして…触れていたいんだ』 薄く閉じた瞳 近付いてくる唇 触れるようなキスが 何度も降ってきて 確かめるように …深くなる 甘くて…溶けてしまいそうなキスは 今…生きてる幸せ そのものだった
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