君と見た空

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『…で… 今日の検査…どうだった? いくつも立て続けで疲れたでしょ… 昨夜も発作が出たって… 鮎さんに聞いたし あまり無理はさせたくないんだけど』 ベットサイドから顔を覗かせて横になったままの私の髪を弄びながら問いかける 優しい霧生さんの…声 『はい…検査の途中は大丈夫だったんですけど… 部屋に帰ってきたら急に吐き気が止まらなくて 薬のせいだってわかってたし 寝たら治りました』 『そう…薬の副作用はどうにもできないからね… 辛かったね… で… 明日は心電図だっけ』 『はい 後は…また採血がありますし オペに備えて 胸のレントゲンもあります』 オペに備えて… みんなが オペができる事を前提に 動いてくれている 再手術ができるかは… 正直…わからない 検査の結果次第では オペが不可能… そんな事もあり得る 今は…ただ 全てを信じて 霧生さんを…信じて 『翠ちゃん…? もう今日は休もうか 僕が横で寝てあげるから』 私の横で 同じように横になって トントン…トントン… テンポよく背中を叩く 優しい手が 再び私を眠りに誘う 霧生さんはわかってる このまま起きていると 辛い事まで考えちゃう私の事 だからこうして… 辛くないように 私を導いてくれる 私が眠りについたら 霧生さんは きっとこう言うの 『君の事なんて 何でもお見通しだよ』 …って
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