君と見た空

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……… 頬に…触れる 唇の温もり…? 額に…瞼に 何度も…何度も 落ちてくる…キス ……………… 私…生きてる…んだ 一瞬…もうダメだって… 思ったけど 朦朧とした意識の中で 私を呼ぶ声がしたの ゆっくり瞼を開けると 目の前にいたのは やっぱり… “霧生…さ…ん…” 必死で 声を出すけど 酸素マスクの中では 声にならない 『…やっと気付いたね』 私の顔を覗き込むと 安心したように ほっ…と息をついた 『…呼吸も楽になったみたいだし マスク、少しなら外してもいいよ 気になるでしょ? でも、少しだけね』 頷いた私のマスクを そっと外して 顔に掛かった髪を 霧生さんの指がゆっくり払う 『…やっと…キスできる』 ………っ ほんの一瞬… 近付いてきた唇に目を閉じる暇もなく 優しい…唇の温もりが 何度も離れては…重なって その度にはらり…と 私の顔に掛かる 霧生さんの栗色の髪が くすぐったい それが すごく幸せで…愛しくて この幸せを… 手離したくないって… 心の底から…思ったの
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