君と見た空

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━最終話━ 『なぁ…純 今夜…山谷さんとこ行かねぇか? 少しはお前も息抜いとかねぇと… いざというとき くたばっちまうぜ? 俺が奢るからよ』 帰り仕度をしていた僕に 鮎さんが声を掛けてきた 確かにここ数日… 仕事帰りは翠ちゃんの所に直帰していたから 自宅には 寝に帰るだけ 当然、山谷さんの店にも顔を出していなかった それは 単に 僕が翠ちゃんから離れたくなかっただけなんだけど 実際 翠ちゃんの所には ご両親もついてるし たまにはご両親にも 翠ちゃんの隣 譲ってあげないといけないよね 鮎さんの言う通り いざというとき使い物にならなかった…なんて事ないように 今夜は少しだけ 山谷さんの笑顔を見ながらゆっくりしてみるのも 悪くないのかもしれない 『…わかりました すぐに行きますから 先に行っててください』 『おぅ 翠んとこに 顔出してから来るんだろ? んじゃ俺らは先に行ってるぜ』 …俺ら…? 鮎さんが向かったドアの方を見ると 遠藤くんに悠太 …土谷さん… 『…みんなお前が心配なんだよ』 …っ… ちょっとみんな 揃いも揃って… 『過保護過ぎじゃないですか?』 僕の口から出たのは いつものそんな言葉 だって ほんとに思った事なんて …恥ずかしくて言えるわけないじゃない
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