君と見た空

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『悠太… 翠ちゃんの今朝の状態 何か変わりなかった?』 カルテを抱えて ナースステーションに戻ってきた悠太と 彼女の体調を確認 明日のオペに控えて 体調が 最も良い状態で出来ることは大事な事 『ああ… 脈も血圧もほぼ正常 ただ…少し熱があるな 微熱程度だから 大袈裟なものじゃねーけど』 『…微熱…ね 本人は大丈夫なの?』 『顔色も悪くねーし 食事もちゃんとしてたから大丈夫 元気だった』 『…そう』 あの子は 辛い時でも笑ってる子だから 元気に振る舞っている時が余計に心配なんだ 刻一刻と近づいてくる オペの時間 明日の今頃 彼女は麻酔で眠っているはず 砂時計のように 止まらない時間が こんなにももどかしいなんて 僕は 一度閉じたPCを再び開いて 画面に映る 翠ちゃんのカルテと 明日のオペの資料を 時間を忘れる程 何度も確認した どんなことがあっても 決して諦めない 奇跡が起きるのを待つなんて柄じゃないし 奇跡は …起こすものだから 君を必ず助けて 今の幸せを 永遠のものに… してみせるよ
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