君と見た空

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『お前にとってあいつは 昔の後輩としてじゃなくて 一人の女としても 目が離せねぇんじゃねぇかって 思ってるんだが 違うか?』 一人の女として? 翠ちゃんを? あの 練習中に鼻血出して 笑ってたあの子を? 『ぷっ…あははっ…冗談でしょ 鮎さん、笑いの腕上げましたね それはないですよ 翠ちゃんに恋愛感情なんて』 まぁ…昔 一番一緒にいたから 可愛い後輩なのは確かだけど そんな風に考えた事もなかった 『…じゃあ聞くが 翠が自己紹介した時 土谷さんと話してるあいつを見て あからさまに 気に入らねぇ顔してたのはなんでだ?』 『それは…』 それは…? あれ…?なんでだろ 『翠をお前の担当にさせた理由は?』 『…あの子は優秀だって聞いてたし』 『それだけか?』 『多分』 『じゃあ、俺があいつを無理矢理担当で引き抜いたら?』 『それはダメ』 『ほら…な』 ふ…っと笑う鮎さんに …なんだろう この敗北感 だって 今まで付き合ってきた女の子とは 全く別の感情だし 僕だってそれなりの経験は…あるし 自慢じゃないけど 女の子に不自由したことはない でも どの彼女と比べても 翠ちゃんに対する気持ちとは…違うし ただ 少しだけ 嫉妬...みたいなものを 感じたことがないとは言わないけど それとはまた別の感情じゃない? 翠ちゃんを可愛いと思ってるのは間違いではないけど 恋愛感情なんて 僕らにはないし 『僕と彼女は昔と変わらないですよ?』 冗談にしては ハイクウオリティーだったけどね
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