君と見た空

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『…針を刺すから 少しだけ痛いが…我慢してくれ』 午後になって 麻酔の準備に来た遠藤先生と霧生さん 遠藤先生が 麻酔の点滴を処置するのを 霧生さんが横で見ていてくれる 一瞬…腕にチクンと違和感を感じて 遠藤先生は 麻酔が入ったのを確認すると 『…後十分もすれば効いてくるはずだ 俺はオペ室に先に行っている』 そう言い残して 部屋から出ていった 部屋には両親と霧生さん 『翠? 先生を信じて… 頑張りなさい』 『…大丈夫よ オペが終わったら… 花嫁姿…見せてくれるのよね』 なんて涙を浮かべて 笑ってる 『うん、ありがとう』 お父さん…お母さん そうやって笑ってくれるのが 一番…嬉しい 『…じゃ…私達は外に出てますね 先生…娘を…お願いします』 最後に両親は 霧生さんに頭を下げて 部屋を出ていった 『…花嫁姿…って なんだか恥ずかしいです』 『…そう? 僕も見たいよ?君の花嫁姿』 クスクス笑いながら 私の髪を撫でて 愛しそうに見詰める瞳に… 吸い込まれそう 彼の手の温もり 優しい笑顔 いつまでも見ていたいのに …だんだん意識が薄れていく 『…きりゅ…う…さん』 『…ん…』 『…眠く…なって来ちゃいまし…た…』 『…薬が効いてきたかな…』 霧生さんの声も… 少しづつ…遠くなって 『…じゃあ… 行って…きます…ね』 『うん…いってらっしゃい』 唇に… ━フワッ…━ 霧生さんのキスが …落ちてきた もう…ダメ… …限界… でも… 意識が途切れてしまうまえに… これだけは …言わせて…… 『翠…?』 『…霧生さ…ん 貴方を…ずっ…と… …━アイ…シテ…イマ……ス…━』 ねぇ…聞こえた…? 霧生さん…
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