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『霧生先生っ!!
患者さん待ってますから!!』
『わかってるよ…
でもさ
昨日は夜中に
アッペ(虫垂炎の手術)で起こされて
そのまま緊急で３時間バイパス手術
僕がほとんど寝てないの
翠ちゃん知ってるよね？』
『知ってますよ
ちなみに
そこには私もずっと一緒だった事も
先生ご存じですよね？』
オペ看が捕まらないって言われて
先生に呼び出されたんじゃないですか
『そうだったね
わかりました
…じゃあ少しだけ
後…５分
ここでいいから寝かせて？』
…ここで？
ここは小児科の診察室
先生がパタン…と横になったのは
子供用のベット
納まり切らない膝を曲げ
小さく丸まって
瞳を閉じて
すぅっ…と寝息を立てる姿は
……猫みたい
『…もう…っ
５分だけですよ？』
カーテンを閉めて
その場から離れようとした時
『…ありがと』
背中から微かに聞こえた声
…………
もう10分…休ませてあげようかな
私が先に患者さんのカルテを纏めておけば
そのくらいの時間
カバーできる
患者さんを前にすると
いつだって
どんなに疲れてたって
笑顔で対応する霧生さんがわかるから
『…今日だけですからね』
少し揺れたカーテンの向こうで
彼が笑ったような気がした
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