君と見た空

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『三分遅刻だよ』 職員玄関の前で 霧生先生が 寒そうに 身体を抱えながら 頭にはうっすら雪が掛かってて 『すみません…っ… 来る途中 雪が降ってきたから 一度傘を取りに戻ったんです… それに…服… なかなか決まらなくて…』 こんなの理由にならない言い訳だけど… 私はとりあえず さしてた傘の中に霧生先生を入れて バックから出したハンドタオルで 先生の濡れた頭を拭いた 『本当すみませんー… …結構濡れちゃいましたね… 風邪…引かないといいですけど…』 先生に風邪でも引かれたら患者さんやスタッフに迷惑がかかってしまう 明日も明後日も 午後からオペが入ってるのに 『ククッ...冗談だよ そんな顔しないの 大丈夫だよ、これくらい それより…早く行こう 予約の時間に間に合わなくなる』 『予約の時間…って いつの間に予約なんてしてたんですか!?』 『んー…昨日?』 ………ん? 『…昨日…って 私がこの話聞いたの 今日ですよ?』 『うん、ホントは他の人と予約してたから』 ……は? それって… 『…その予約の相手がキャンセルになったから急遽私に声をかけた…と?』 『まあ…そんなとこかな』 『えっ…あ、そうだったんですか!? あははっ...なんだ…そうだったんだ…』 他の人…か 多分…女の人だよね 看護師か…医者か… はたまた患者さん…とか? あれ? なんか…私 がっかりしてる? なんで…? いや…気のせいだ 霧生先生が誰と約束してようと 私には関係ないし でも… なんで? 胸の奥がチクン…てなった
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