君と見た空

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タクシーに乗ってから 約15分くらい過ぎた頃 一軒の店の前に横付けされた車を降りて 先生の後に付いて入った 大きい扉の先は 『…う…わぁ…っ…』 いかにも高級そうな ステーキ専門店 『…そんなにびっくりしないでよ』 ぷっ…と噴き出す霧生先生に促されて中に入ると 店員さんがニッコリ 『霧生様…いつもありがとうございます』 って頭を下げてる いつも…って事は… 常連さんなんだぁ… で いつも…誰かと? ……………… ……まぁ…いいか 【予約席】と書かれた席は奥迫った1画 ここならあまり目立たなくて 落ち着けるかも 『ほら…座って?』 先生に言われて 座ったはいいけど こんなお店 来たことないから 正直 何を頼んだらいいのか わからない しかも テーブルに置かれたメニューは… ー英語ー 私は 昔から英語は…弱い 大体ここは日本でしょ なんでメニューがわざわざ英語なの…っ なんて書いてあるのか サッパリわからないじゃない… 『霧生先生…助けてください このメニュー 私には何がなんだか…』 『…ん? 翠ちゃん英語ダメだったっけ?』 『ダメってレベルじゃないくらい 頭が受け付けません』 『あははっ… じゃあ…僕が適当に頼むから それでいいよね 焼き加減はどうする?』 『…メニュー全部おまかせで』 『全部…? ふーん…了解 じゃあ…僕は さっきオペしたばかりだからレアはやめて… ミディアムで 翠ちゃんも一緒ね』 『…先生… オペしたばかりでよくステーキ食べれますね…』 『ああ…最初は無理だったけど… 慣れちゃったかな』 店員さんを呼んで メニューを広げながら あれこれいくつか頼んでくれてるけど 早口の英語だから 全然聞き取れなくて でも最後に ワイン…みたいな言葉が聞こえて それを頼んだとき 店員さんが 『…えっ…あれですか…? ああっ...そうでしたね』 って 少し驚いた顔してたんだけど なんだったんだろう
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