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うう…っ…
緊張…するなぁ…
先月突然
看護部長に呼び出されて
『水木さん?
来月からこの病院に異動してね
新しい医療チームからのヘッドハンティングだから
光栄な事だと思って
胸張って行ってらっしゃい』
なんて
笑顔で何を言い出すかと思えば
どうせ大した用事じゃないとふんでいた私にとって
あまりにも唐突な話で
理解するのにどれくらい時間が掛かっただろう
新しい医療チームって
そんな高いハードル
目指すつもり更々なかったのに
私の意思とは反対に
話は勝手に独り歩きしていた
で
この病院…って
名指しされた病院は
国内トップクラスのドクターが揃う
それはそれは有名な大学病院
こんな病院に勤める事になるなんて
いやだ…
絶対…いやだ
プレッシャーに押し潰されそうな心が
悲鳴を上げている
でも
しがない看護師の私には
もう
どうすることもできなかった
そして今
月が代わり
私は…新しい職場である
病院の前に立っている
目の前のバカでかい病院に
楽しみなんて
一つもない
ただあるのは
緊張と不安と
帰りたい症候群
『…あー…帰りたい』
『…来て早々
んな顔してんじゃねぇよ』
……っ!?
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