君と見た空

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『鮎さんに奢ってもらうなんて久しぶりかも!! 最近ちっとも奢ってくんねぇじゃん』 『誘ってやっても いつも蘭が優先で お前の方が断ってくるからだろうが』 『…っ…そんなことねーし…』 仕事終わりのいつもの居酒屋 鮎川先生と悠太君の掛け合いをつまみに 山谷さん特製の揚げ出し豆腐をつつく これがまた美味しくて 山谷さんいわく 【遠藤君絶賛の一品】 らしい 『…で? その蘭ちゃんは今夜拘束番?』 『ああ… 今週は蘭の拘束が2回あったから ほとんどここで食事してたな』 『お前…蘭のとこに転がり込んでんのか? ったく…ちゃんと飯代くらい蘭に払ってるんだろうな?』 『払ってるって!! 家賃だって半分づつにしたし…』 …それって… 同棲してるってこと? 知らなかった…っ… 『…ちょっ…翠 お前…っ…そんなに飲んで大丈夫かよ!! ペース早くね?』 ……え…?…あ 気付くと空いたグラスが三杯分 確かに…ちょっと早かったかな 頭クラクラする 『この辺で水にしておけ 山谷さん、わりぃ こいつに水一杯やってくれ』 『おいおい… 翠君、大丈夫か? 純にでも迎えに来させたらどうだ?』 『そうしてやるのが一番なんだが …生憎、純は土谷さんと出張中でよ…』 『いえ…っ…大丈夫ですって 一人で帰れますから…』 酔っぱらって誰かに迷惑なんて かけられるわけないじゃない… 取り合えずタクシー… 鞄の中から携帯を取り出した時 ♪♪♪~ あ…れ?電話…? 『…はい…水木で…あっ…!!』 ガシャン…ッ おぼつかない手元から 携帯が落ちてしまって 『…何やってんだよ… ほら…っ…』 鮎川先生が拾って 持たせてくれた 『…すみません…っ… あ…もしもし…?』 《…もしもし…? ……翠ちゃん?》 ……あ 耳元から聞こえてきたのは 『霧生…先生?』
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