君と見た空

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━6━ なんか… 仕事行くのヤダな… 週末の霧生さんからの電話 あの切られ方が気になって あれから帰宅した後 すっかり酔いが覚めてしまって 鮎川先生には 『気にすんな あんなもん 只のヤキモチだからよ…』 なんて言われたけど そもそも ヤキモチ妬かれる理由がわからない ヤキモチって言うのは 好きな人にするものであって 私達には全く当てはまらないはずなのに なんであんなに怒ってたんだろ? 調子に乗りすぎとかまで言われちゃったけど ………… なんか… だんだん腹が立ってきた なんで? なんで?なんで? 霧生先生が怒る理由が見つからない 私はただ 鮎川先生と悠太君と 飲んでただけだし 確かに少し下手な飲み方しちゃったけど 霧生先生に迷惑かけてないし!! あー… 行きたくない 霧生先生の顔 …見たく…ない それでも 私の脚は しっかり小児科に向かっていた 我ながら偉いよ、私 『おはようございます…』 診察室のドアを開けて 奥の部屋を見ると 珈琲を淹れてる霧生先生の後ろ姿 私に気付いた先生は チラッ…とこちらを見て 『…おはよ』 それだけ言うと 珈琲を持って さっさとその場を後にした 向こうからは 他の看護師さんに話し掛けられて 楽しそうな声が聞こえる なんなの…? 何故か 今までの怒りが 全然別の感情に変わっていて 鼻の奥から 込み上げるものを感じた 霧生さんが 私を避けてる こんな事初めてで どうしたらいいか…わからない
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