君と見た空

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『…翠?どうしたの? なんかあった?』 『…え?』 食堂でお昼をとっていた私の前に 樹理が座りながら話しかけて来たんだけど 『ん~… 何かあったって言えばあったような… なかったような…』 『なにそれ』 だって なんて説明したらいいか わからない 『…恋の悩みですか?』 『…は?』 ニヤニヤ笑いを浮かべて 興味深そうな樹理は …なぜか楽しそうで 『翠って好きな人いないの?』 『うーん…いないなぁ』 『…ほんとに? 気になる人とかは?』 『…気になる? 気になる人っていうか… 今現在 意味わからないまま 怒らせてしまって どうしようか…って 気になってる人はいる』 『…怒らせて? …何をやらかしたの?』 何…って… 何にもしてないよ、私 『なんか知らないけど 怒ってるんだよね… ろくに口も聞いて貰えなくて それが…なぜか 凄く…ショック…ってゆうか…』 『…誰を怒らせたの?』』 『…霧生先生』 『あ~…』 何?あ~…って 樹理の反応は やっぱり…みたいな顔で 『さっきね 霧生先生に診断書の件で医局に行ったんだけど めちゃくちゃ機嫌悪かったんだよ 印鑑くれるのも無言で こっちを見ようともしなかったし …それって翠が原因なの?』 うわぁ… そんなに機嫌悪くなってるんだ… でも…私が原因? だから…なんで? 『…私じゃないもん』 私が原因の意味がわからない 『じゃあ… なんで霧生先生あんなになってんの?』 『知らないっ 私はただ 霧生先生が出張中に 鮎川先生と悠太君と飲みに行ってただけで 別に何もしてないし ただ…少し飲み過ぎたけど 霧生先生には何の迷惑もかけてないのに…』 そこまで黙って聞いていた樹理が 突然考え込み出した 『…何…? なんか思い当たる節…あるの?』 『…ねぇ… 翠がここに移動になる話って いつ頃から出た話だっけ?』 『…確か… 半年前…って言ってた気がするけど』 『…半年前… 半年前って… 霧生先生がちょうど 彼女と別れた時期だよね』 ああ…そんな話 前に樹理が言ってたっけ でも 『…それとこれと 何の関係があるの?』 『…わからないけど ただそう思っただけ』 『…何の解決にもならないじゃない』
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