君と見た空

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なんだか…すごく疲れたんだけど 体調が悪い訳でもないのにやたら疲れた気がする …気のせい…かな 午後から 4時間かかった長いオペがやっと終わって 神経を使い果てた体で オペ着のまま休憩室のソファに倒れ込む 『…ふぅ…』 …なんだろう… 落ち着かない 心の何処かで 何かを迷っているような 変な感じ …何を…? ああ…っ…もう… 今日は早く帰ろう 山谷さんの所でお酒でも飲めば 少しは気分が晴れるかな ━ガチャ…━ ………? 『…純』 入り口から聞こえた声に 重たい頭を上げて 背もたれから覗き込むと 珈琲を差し出す遠藤君 『…ありがと』 『…悩み事か』 …………… 急に…何? 『オペ中… いつもより落ち着きがなく見てとれたが… 俺の気のせいか』 …なるべく冷静にしてたつもりだけど 遠藤君には… 見透かされてたって事? 麻酔医は… 常にオペ中、周りを見ながら処置しているから …ばれてしまうんだね 缶珈琲のプルトップを開けると ふわっ…と立ち上る湯気が視界を覆う 『…ふぅ…』 無意識に…また溜め息 『…土谷さんが心配していた 目の下のクマは寝不足なのでは…と』 寝不足…ね
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