君と見た空

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後ろから聞こえた 聞き覚えのある声に 驚いて振り返ると そこにいたのは 『鮎川さん…っ!? なんで…っ…』 『なんで…じゃねぇよ 俺はここのドクターだ しかも これからお前の入る医療チームにも参加してるぜ?』 医療チームって… 『なんで!?』 『だから… なんで?…じゃねぇ 何回言ったらわかるんだ? ほんとにお前 相変わらずだな…』 相変わらずだな…って 溜め息をつく白衣姿の鮎川さんは 私の大学の先輩 弓道のサークルで 随分お世話になった 『鮎川さん… なんで私がここに呼ばれたんですか? ヘッドハンティングなんて…冗談ですよね?』 未だにこの状況を呑み込めない私は 鮎川さんなら真実を知っているんじゃないか…って そう思ったから 『…冗談でこんなことしねぇよ お前の噂はよく聞くぜ? なんでも敏腕看護師らしいじゃねぇか あの翠がよくここまで成長したな』 ポンポン…と私の頭に手を弾ませて ニッコリ笑う これ昔…練習が上手くいくと よくしてくれたっけ 恋愛感情なんて全くなかったけど お兄ちゃんみたいだったから 私は彼になついていた 『…お前が呼ばれたほんとの理由 …知りてぇか?』 どこか嬉しそうに問いかけてくる声 は なんとなく楽しげで 『…あいつも待ってたぜ? …お前の事』 あいつ…? あいつ…って…
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