君と見た空

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やっと…こっちを見てくれた でも 『…じゃあ…どうして? 私…他に何かしました?』 益々 霧生先生が怒る理由 わからないんだけど 歩を止めて 少し屈んだ霧生先生が 私の頬を… ツネった ……っ!? 『…君が 僕の見えない所で 楽しそうにしていたから』 『…はひ?』 なにそれ 自分が学会で疲れてるところに 私や鮎川先生達が 楽しんでいたから…? …それって… 『ただの妬みじゃないですか!! 鮎川先生が疲れているときは 私達、楽しんでちゃいけないんですか!? もう…っ…そんなの… 勝手過ぎます!!』 『…仕方ないじゃない 気に入らなかったんだから』 『…きっ、気に入らなかったって… 私がどれだけ…っ』 噛み締めた唇 震えているのが自分でもわかる 『…どれ…だけ… ショック…で 寂しかったか… 霧生先生になんて わからないっ…!!』 思った以上に大きな声になってしまったけど そんな私を見て 霧生先生は大きな溜め息を付いた 『それはお互い様』 『…どういう…事ですか…』 『…内緒』 は…っ!? 『意味わからないんですけど!!』 『…わからなくていいよ』 ニヤリ…と上がった口角 また…私の負け 『…ずるい 私凄く…落ち込んだのに』 『…落ち込んだんだ』 『…当たり前じゃないですか…っ!!! …こんなこと 初めてじゃないですか… もう…どうしたらいいか… わからなくて…っ…』 やだ…思い出したら また… 鼻の奥がツン…としてきた 霧生先生に…ばれちゃう…っ… 『…君の泣き顔… 空港で見た時と…変わってないね』 …バレてるし!! 『もう…っ …放っといてください!!』 『…それは無理 ほら…次の店に行くよ?』 すっ…と私の手をとって 歩き出す霧生先生 学生時代 二人で飲みに行った後は よく こうして手を繋いでもらって歩いた 『…懐かしいね こうして二人で歩くの』 『…そう…ですね…』 『あ、そうだ 次の木曜 君、休みだよね 一緒にサークルに顔出してこようか』 サークルに? うわぁ…楽しみかも 『はい…っ』 久しぶりに弓を持てる それに 霧生先生の弓を引く姿 見れるんだ 良さんも…元気かな 霧生先生に手を引かれながら いつの間にか心の中は ほっこり 温かくなっていた
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