君と見た空

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『お疲れ様です』 ドアを開けた霧生さんの後ろから 中を覗き込むと …いた 『良さん!!』 学生達に混じって指導中の良さんが 私の声に振り向いた 『おお…っ… 純と翠か!! 久しぶりじゃないか… 元気だったかい?』 『はい、お陰さまで 良さんもお元気そうで』 『良さん、全然変わらない…』 『いやいや変わったよ 昔より疲れやすくなってしまってね…』 そう言う良さんは あの 柔らかい笑顔を見せた 『そういえば… 今度翠も純達の病院に移動になったそうだね 先日顔出しにきたツチさんが言ってたよ』 …土谷先生? 『…ほんとにあの人はマメですね』 『ああ…気分転換にと たまに顔を出してくるんだよ しかし… あの頃のメンバーが揃ってるなんて楽しそうじゃないか』 良さん うんうん頷いて嬉しそうだ 『そうだ…良さん 僕達も少し…やっていってもいいですか?』 手で弓を引く仕草をしながら ニヤリと笑う霧生さんに 『もちろんだよ 是非やっていきなさい お前たちが弓を持てば 学生達にも見本になるからね』 『見本に…ですか!? 無理ですって!!』 長い間 弓を持つ事すらしなかったのに無理だってば… 『大丈夫だよ?だって翠ちゃん 県大会の準、優勝者じゃない』 『あくまでも“準”ですから』 準…を強調して話す霧生さんを睨む 人が気にしてる事をっ!! 『ほらほら止めなさい!! 純も!! たまに顔出したと思ったらこれだから… 全く…いつまで経っても お前たちは変わらないままなんだねぇ…』 呆れたようなため息の中にも どこか嬉しそうな良さんに 思わず霧生さんと顔を合わせて 笑ってしまった
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