君と見た空

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『弓道衣は控え室にあるから好きに使いなさい』 良さんに言われて 翠ちゃんと控え室に入ると 『霧生さん…っ…これ!!』 彼女が指を差した先 『…ふーん… 僕が四年の時の県大会で みんなで撮った写真だね』 『はいっ…懐かしいっ 霧生さん、この時優勝したんですよね 遠藤先生が準優勝で 悠太くんは四位入賞…でしたっけ』 優勝カップを持った僕の横で 悠太が負けて悔しそうな顔をしてるし 遠藤君はそんな悠太を見てるから横顔のまま なぜか 土谷さんや鮎さん… 南さん…といったOBもいて 翠ちゃんは… いた 『…綺麗になったよね…』 『…え… 何か言いました?』 『ううん …なんでもないよ ほら…早く着替えよう?』 写真の中の君は 嬉しそうに笑っていて この頃僕は そんな翠ちゃんを見ているのが 何よりも楽しかった 僕には彼女もいたけど 正直 彼女といるより翠ちゃんといる方が 飽きなかったし 『私、更衣室行ってきますねっ』 髪を一つに結いあげて 道着を抱えて部屋から出ていく君の後ろ姿に 昔の君を重ねた 僕は 君を…
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