君と見た空

55/194

3784人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
━9━ 『…ねぇ… 翠…最近痩せた?』 今日は 最近出来たパスタが美味しいってお店で 樹理と蘭ちゃんと仕事帰りの女子会 なんだけど 『そう…? 別に気にしてなかったけど… 今週も仕事ハードだったし… 食事もろくにとらなかったからかなぁ…』 『食事くらいちゃんととろーよ… 翠ちゃん倒れたら 霧生先生困るよ?』 『……っ…』 霧生先生…のワードに 思わず体が反応してしまう 先生にホッカイロ代わりにされたあの日から 離れてくれない …腕の温もりと ほのかに鼻を擽ったシャンプーの香り 多分… オペ後に浴びたシャワーのせい 思い出すとドキドキ煩い心臓に …なんとなく悔しくて ワインを一口くちにして なんとか誤魔化してみたけど 『…何…その反応? 翠…霧生先生と何かあったんじゃない?』 …樹理は…鋭い 『…何も…ないけど』 『『…けど?』』 テーブルから半分身を乗り出した蘭ちゃんの 嬉しそうな顔 二人が期待してるような話は 大体想像がつくけど 『おあいにく様 …何でもないよ』 『…怪しいなぁ…もう』 蘭ちゃんが口を尖らせながら パスタをクルクル…クルクル…クルクル 『…蘭ちゃん それ巻きすぎ…』 『…………っっ…… ……もう…っ!!! 翠ちゃんがいけないんだよ!!』 『ええっ…何でっ!?』 『霧生先生と早くどうにかなっちゃえばいいのに!!』 『はっ!?』 またこの子は… 突拍子もない事を 『…見たんだって』 ……え 『こないだ悠太君 屋上で…』 屋上…? …………… …っ……まさ…か 『何をっ?』 樹理が 口に運ぼうとしたスープの手を止めた 『…あのね…』 『ちょっ…!!! まっ…蘭ちゃ…』 ちょーーーっ……!! 『霧生先生と翠ちゃんのラブシーン』 ……言っちゃった しかも誤解を招くような…
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3784人が本棚に入れています
本棚に追加