君と見た空

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『いつもありがと遠藤君』 『…たまには自分で自炊したらどうだ…』 『いいじゃない 遠藤君だって一人で食べるより 誰かと食べて 美味しいって言って貰える方が嬉しくない? 今日も美味しいよ、遠藤君』 『…そう…か…』 少し頬を緩めて 満更じゃなさそうに笑みを浮かべる遠藤君 山谷さんのお店の次に よくここで食事をとる どうせマンションの部屋は隣だし 飲み過ぎたって ドア一つだし? 『今日は何を飲むんだ』 『ビールがいいな』 『…わかった』 用意された二つのグラスにビールを注いで グラスを合わせて カラカラに渇いた喉に すっ…と入ってくる 『純』 『…ん?』 『先日… 翠とサークルに顔を出したと聞いたが…』 『…あ、うん 行ってきたよ翠ちゃんと ついでに試合もしてきたんだけど 終わる前に呼び出しが来ちゃって 結局決着つかないままだったけど』 『良さんは元気だったか…? 俺も暫く顔を出していない 時間ができたら…とは思っているのだが』 遠藤君 良さんの事 凄く慕っていたからね 一番に気になる所…と言った感じかな 『大丈夫、元気だったよ 疲れやすくなった…ってぼやいていたけど』 『…そうか… 元気ならよかった …しかし』 …ん? 『…俺も見たかった お前と翠の試合』 ふと頬を緩めながら 少しだけ興味深そうに 『あははっ… 久々で面白かったよ 翠ちゃん 最初は調子良かったんだけど だんだん力が入っちゃって』 あの時の翠ちゃんが 学生時代の彼女とまるで変わらなくて 可愛くて可愛くて わざと的を外してしまったのは 君には内緒 『…あんたは』 『…え…?』 『…昔から 翠の話をしている時が一番楽しそうに見える』 遠藤君の一言は 何故だか胸にズキン…と響いた 認めざるを得ない 僕の心の奥底 無意識に隠し続けた 翠ちゃんへの気持ち
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